福岡Rubyist会議03に参加してきた

概要

去る2月18日(土)に福岡Rubyist会議03に参加してきました。とても良い地域Ruby会議だったので、ここではその様子をレポートしていきたいと思います。

全般

今回の福岡Rubyist会議03は基調講演2名、一般講演6名の計8名による講演がメインの技術カンファレンスでした。講演の他には会場の後方に八女茶が提供されていたのが特徴でした(めちゃくちゃ美味しかった…)。

参加者はスタッフの方などを合わせて総勢100人前後、参加登録ページによると一般参加はほぼ満員でした。会場では東京から来た方も多く、賑やかな雰囲気となっておりました。

コンテンツ

ここでは各講演について概要などを書いていきます。今回、個人的に初の試みとしてメモを取っていたので、その内容からの復元となります。

yasulab: RubyistによるRubyistのためのカンタン動画制作

安川さんのお話は動画を撮ることについてで、独自の機材でYouTubeへのライブ配信を行うなどとても意欲的なものでした。「音は丁寧に、画は程々に」というフレーズが印象的で、実際に配信をする際には参考になりそうです。StreamYardやScreenFlowなどの便利ソフトウェアも紹介されていて、今後動画配信をする人にとっては助けになる内容だったと思います。

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hsbt: Ruby のリリースを爆速にするための方法

しばたさんのお話はRubyのリリースについてで、かなり自動化できている部分もあるが手動の部分もまだあるということでした。Rubyのような複雑なソフトウェアをリリースするのはとても大変なのだと想像は付くのですが、こうして実際に発表になるといやそれは本当に大変そう。

「セキュリティリリースの際はパッチを公開できない」という話があり、なるほどと思いました(リリースより前にパッチを公開してしまうと問題を認識されて悪用されるから公開できないが、そのために動作確認が大変、という理解です)。

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sorah

そらさんの基調講演はRubyKaigiの運営がテーマでした。「大変だけど楽しんでやっている」「Rubyコミュニティには恩がある」という話が印象的でした。特に圧巻だったのはtakeout-appについてで、かなり多機能なアプリをAWSを駆使しつつ数週間で作ってしまうのはさすがの一言。

Wi-Fiの話も色々な苦労を偲ばせておりました(技術的なことはよくわからなかった…)、いつもありがとうございます。

(資料は非公開です)

Y_uuu: mruby on IoT devices.

岡嵜さんはmrubyのお話で、mruby-esp32というライブラリをIoTで使う際に直面したたくさんの課題を解決する話でした。課題の一つは最新バージョンへの追随で、地道にエラーを倒していきます(詳細は発表資料を参照)。MQTTというプロトコルのクライアントがない課題はmgemを作ることでクリアして、エンジニアリングをやっている…!という感想です。mrubyはまだまだ潜在的な応用事例が色々あると思うので、今後に期待ですね。

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hachi: Factorybot 改善ツール作成失敗と学び

hachiさんのお話はFactoryBotの改善ツールを作ったこととその「失敗」についてです。「失敗」となってはいますが、実際には「全部思った通りにはいかなかった」くらいの内容に見えました。Railsのメソッドをオーバーライドし、test-profに入っているbefore_allに置き換えたりすることで高速化を図るのですが、CIに入れるくらいの精度を目指そうとすると偽陰性偽陽性が多くなってしまうとのこと。

「レコードの作成には意図があって、それはレコードが作成されたという事実からはわからない」というのがポイントということで、なるほどたしかにと思いました。アプローチとしては面白いと思うし、テストの高速化はみんなの夢なのですが、なかなか難しいですね。

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pocke: ⁠外部コマンド実行入門

pockeさんのお話のテーマは「外部コマンド実行」でした。コマンドインジェクションのリスクがあるため、そもそも外部コマンドを使わないか引数を複数にわけて渡すことでシェルの起動を防ぐべき、という指針は非常に実践的。外部コマンドを実行するメソッドもいくつか紹介されましたが、だいたいOpen3で事足りてしまうという…

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znz: Rubyist Magazine Reboot

西山さんはるびまのお話でした。現状更新が止まっているるびまをどうするかについて、関わる人数を増やさなくてはいけないこと、現状のシステムの紹介などが取り上げられました。質疑応答タイムが各自の想いを語る場になっていて良かったですね。

slide.rabbit-shocker.org

tompng: メンテできないコードをメンテする技術

ぺんさんの基調講演はTRICKに出てくるようなコードをどうメンテするのかという内容でした。「本当にメンテできないのなら、提出まで至らない」という話が個人的に印象に残っていて、TRICKのコードでもメンテナンス性が重要であるというのは発見でした。非常に高度な内容が次々と出てきて圧倒されましたが、「時にはメンテ不能になることもある」という話を聞いて少し安心しました。

TRICKのようなコードはIRBの秘孔を突くことがあるらしく、IRBのバグ修正にも一役買っているということで、すごい話だなあという感想です。

皆さんの反応は該当の時間のハッシュタグ検索結果から見られます。

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福岡

福岡に行ったのはこれが二度目でした。滞在時間が長かったので割とあちこちに行けましたが、せっかく行った太宰府天満宮が工事中で残念でした。美味しいコーヒーをたくさん飲んで、福岡のコーヒー文化の豊かさに触れることができて良かったです。

次回行く機会があれば門司港に行ったりしてみたいですね。

最後に

今回はトークがとても面白くて非常に充実した時間を過ごせました。現地の方と交流もできましたし、久々の地域Ruby会議を満喫することができました。オーガナイザーの方々、スタッフの方々、スポンサーの方々、ありがとうございました!

【宣伝】この記事はFukuoka.rb#296にて執筆されました。