Kaigi on Railsのチーフオーガナイザーを務めました

はじめに

先日行われたKaigi on Rails STAY HOME Editionのチーフオーガナイザーを務めていました。カンファレンスの共同オーガナイザーを務めたことは何度かあるのですが、チーフという立場は今回が初でした。

今回はチーフオーガナイザーの目線から、Kaigi on Railsについて書けることを書いていこうかなと思います。

カンファレンスの概要

基本的には公式サイトに書いてありますが、一応記載すると、2020年10月3日(土)の10時から18時ごろまで、YouTube Live上で配信されたオンラインカンファレンスです。基調講演が2つと16の通常セッションで構成され、常時230人ほどにご視聴いただきました。

懇親会はSpatialChat上で行われ、40人ほどにご参加いただきました。

開催に至るまでの経緯

名称の決定とメンバーの集合

もともと2019年の終わりごろにイベント開催の機運が高まっていたところ、Railsコミッターの@a_matsudaさんに猫廼舎という喫茶店での打ち合わせをセットしてもらいました。実はマスターの@ogijunさんは最古参のRubyistで、かつて"Kaigi on Rails"という名称のカンファレンスを構想していたのです。その場で"Kaigi on Rails"という名称を引き継がせていただくことになり、企画はスタートしました。

Kaigi on Railsはこの時点ではオフラインカンファレンスとして企画されていたのですが(ビフォーコロナ、覚えていますか…)、板橋区の会場をひとまず抑えることに成功しました。

その後、2020年に入ってから運営メンバーに声をかけ始め、私を含めて8人のメンバーが集まりました。また、デザイナーにはべこ(@becolomochi)さんをお迎えしました。2月に顔合わせをしたタイミングまでは何事もなかったのですが、そこで皆さんご存知の通り、COVID-19がやってきます。

オンラインカンファレンスへの移行

3月になると、情勢はすでに厳しくなっており、オフラインで運営メンバーが集まることも困難になっていました。その後幾度かオンラインでのミーティングを重ねましたが、最大の問題は「オフラインにするか、オンラインにするか」でした。

やはりオフラインの経験を捨てがたいというメンバーもいましたし、私もそれは重々承知していたのですが、安全な開催をするためにはオンラインにするしかないということ、すでに社会的にもオフラインでのカンファレンス開催は困難になってきていることなどを私は感じていました。

議事録によると(オンラインミーティングの良いところとして、議事録が残ることがあります)、

今後のテックカンファレンスの位置付けが変わってしまうのでは?という感覚がある

初回だからこそ全力でオンライン側に振るのも手ではないか

違った体験として受け入れてもらえるのではないか?

ということを私は他のメンバーに説得し、結局4月末にオンラインでの開催を決定しました。

オンラインカンファレンス何もわからない

オンラインでの開催を決定したものの、問題は山積みでした。何しろ、オンラインカンファレンスはそもそも存在したことがないものであり、当然運営経験のある人もいません。何を使って配信するのか、という初歩的な問題すら誰も答えを知らないので、手探りで進めていくことになりました。

ミーティングの頻度を増やし、議論を積み重ねた結果、日程の変更(平日2日間から土曜日1日間へ)などを決定していき、CFPの公開を急ぐこととなりました。

CFPとタイムテーブル

CFPは7月末まで公開され、60件を超えるプロポーザルが集まりました。

1つの工夫として、CFPの公開終了直前に"Kaigi on Rails new"と題したLT会を開催しました。ここでイベント名を広めつつプロポーザルの提出をアピールしたのです。

プロポーザルの選定を終え、タイムテーブルを確定させたときにはもう8月も終わりに近づいていました。ここからようやく広報的な活動が始まっていくことになります。というのは、初回開催のカンファレンスは知名度も信用度もないため、コンテンツが確定しないと広報できないのです。

そして本編へ

プロポーザルが採択された人たち(以下登壇者)に連絡をし、動画提出を選んだ人たちには事前に動画を提出してもらいました。ライブ配信を選んだ人たちは当日Zoomで接続して配信するのですが、事前に素振り会をすることで接続面での問題の軽減を試みたりもしました。

また、銀座Rails#25で@ogijunさんと@a_matsudaさんと一緒に歴史の話をしたり、うなすけ(@yu_suke1994)と一緒にタイムテーブルの解説をしたりしました。

当日

コンテンツに関することは、参加者の方々がまとめてくれているのでここには書きません。

カンファレンス本編

開会式には隠しコンテンツとしてMatzのビデオメッセージがありましたので、手短にイベントの紹介をするに留めました。Aaronの基調講演が始まって、運営メンバーは少しだけ一息つくタイミングを得ましたが、緊張は休まりません。切り替えのタイミングでは常に気を張っていましたし、そのため若干アナウンスのテンションが下がっていたなあと今は反省しています。

その後、いくつかのトラブルはありつつもなんとか乗り切り、カンファレンスは進んでいきます。トークの最中はあまりやることがないため、トークを聴くゆとりも徐々に出てきました。

困ったのは、音声の問題です。登壇者との接続用Zoomと運営メンバー間のコミュニケーション用のDiscordと参加者が観ているYouTube Liveと、音声が出ていて確認もしたいものが3つあるわけです。さらに、Zoomのミュートを忘れてDiscord向けに喋りかけてしまうと放送事故になってしまいます。このため、脳は急速に疲労していきます。

さらに、SpatialChatが本編中も開放されており、そちらで雑談もできるようにしていたのですが、そちらは全く確認する余裕がありませんでした。

閉会式では、ちょっとだけエモい話をさせてもらいました。「歴史」をキーワードに次回開催を宣言したのですが、本当に次回どうするかについては何も決まっていません。

懇親会

SpatialChat上での懇親会は、PCスペックなどの原因でトラブルを抱える人もいたものの、総じて好評なようでした。ここは私個人もこだわりが強い部分であったため、参加者の皆さんに喜んでもらえたのはとても良い手応えとなりました。

懇親会では私も一参加者として大いに楽しみました。個人的には、唯一の海外からの登壇者である@lulalalaさんと話せたのが非常に良かったです。

懇親会は23時まで続き盛り上がりましたが、予定通りに終了となりました。

振り返り

良かった点

  • 無事開催できた
    • アンチハラスメントポリシー的な意味で何事も起きなかった
    • 配信が途中でストップしたりしなかった
    • 誰も倒れなかった
  • コンテンツがとても良かった
    • 正直、初回としては最高レベルのコンテンツである自信がある
    • 初学者の人にも満足してもらえた
    • 私個人としても学びが多かった
  • 少人数の運営メンバーで乗り切れた
    • もちろん、個々のメンバーの負担は大きかった(これは課題)
  • 全体的に挑戦したかったことに結果が出た
    • SpatialChatを常時開放しておくのは、オフライン感が出てよかった
    • 懇親会も、そもそも多くのオンラインカンファレンスでは用意されていないので、やってみて楽しんでもらえたのは収穫
    • 動画とライブのミックスも実現できた

改善点

  • 運営メンバーの疲弊
    • どのカンファレンスでもある程度起こることではある
    • タスク量の偏りはあった
  • 本編でのいくつかのトラブル
    • オペミスはまあ仕方がない
    • 接続トラブルに関しては、事前フォローが必要だったかも
  • もっと幅広い人にリーチしたかった
    • これは初回なのでしょうがないという見解がベテラン勢から出ている
    • 初学者を意識していたけど、そもそも初学者はどこにいるんだろう

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ブログを書くまでがカンファレンスだそうなので、これを読んだ本編参加者の皆さんもぜひ書いてね!

さいごに

スポンサー・登壇者・参加者の皆様、そして何よりここまで一緒に運営してきた運営メンバーのおかげでカンファレンスが成功したと思っています。また次回、2021年にお会いしましょう!