Kaigi on Rails 2022を開催したのでその感想を(やっと)書く

はじめに

遅くなってごめんなさい。この記事はKaigi on Rails 2022の開催をした振り返りです。

頻繁に参照される去年の振り返りはこちら

最後のオンライン開催

最初に誤解のないように書いておくと、2023年以降もオンラインでの配信は行う予定です。ですが、オンライン単独での開催は2022年が最後となると思われます。

そこで2022年は「オンラインでのやり残しがないようにする」ということが個人的な気持ちとしてありました。一方では「オンラインでやるには相対的にコストがかかりすぎる、あるいは効果が低すぎる」ものもあります。例えばワークショップ的なものはやりたかったのですが、オンラインで行なうと理想的な体験にならない可能性が高いこともあり、企画としては自然消滅しました。最終的には、2021年の方向性を踏襲しつつ、運営に負担のかかり過ぎない形での実現を目指すことになりました。というのは、オンラインカンファレンスとしてのKaigi on Rails 2021はすでに結構がんばっていたからです。

去年実現できずに今年実現したかったアイデアとしては例えば「コミュニティスペース」というものがあって、これはオンラインで各地域Rubyコミュニティの方々にブースっぽい感じで集まってもらうイメージだったのですが、やはりオンラインだと関係者のモチベーションも上がりにくて結果的に満足度も高くならないということであまり話題になりませんでした。これは物理でやるといい感じにできるかもしれないので来年以降に期待かもしれません。

「がんばりすぎない」

先日Kaigi on Railsの運営ポリシーを決めたのですが、そこでも強調されているのががんばりすぎないことです。今年はここには結構気を遣っていました。というのは、去年のオンラインブースは結果として

全体レイアウトを確定させ、すでに設営済みだったブースをお引っ越しして、設営会の波を突破して、前日にはリハーサルもしたのですが、この時点でおそらく40時間近くブース関連に費やしていたと思います。これは持続可能性に乏しいので、来年以降は改善したいですね。

という状況になっていたからです。今年もブースをやることは決まっていたのですが、どうすれば運営の負担を減らしつつ総合的な満足度を高い状態にできるかに着目しながらやっていくことになりました。

ブース

そんなわけでブースです。今年は11社のスポンサー様にブースを出展していただきました。ブースのためのプラットフォームとして今年はSpatialChatを使いました。理由としては会場の同時編集が可能であることと、

みんなテーブルに着席しない!!

という去年発生した問題を回避するためです。

参加者人数は正確には把握できなかったのですが、最大時で100人ほどの参加者がブースに参加していたようです。盛り上がってはいたのですが、顔ぶれを見ると新しい方が少なく、やはりオンラインではすでになじんでいる人ばかりになりがちという傾向は乗り越えられませんでした。

コンテンツ

肝心のメインコンテンツですが、トークの内容としては過去一番だったと思います。これは過去2回の内容が悪かったということでは決してないのですが、Kaigi on Railsという場に求められているトークを登壇者の方々が徐々に掴みつつあるということなのかもしれません。

yahondaさんの基調講演

yahondaさんは今年の4月頃にRailsのコミッターになったということで、キーノートスピーカーとしてはタイミング的には最高でした。内容については最初「OSSのやり方」的なテーマでお願いしようかと考えていましたが、最終的に「あなたとRails」というタイトルになりました。OSSにコントリビュートしたいけどとっかかりがない方は多数いると思うので、そういった方々のヒントになる内容だったのではないかと思います。

Nateさんの基調講演

もう一人のキーノートスピーカーのNateはSpeedshopというRailsのパフォーマンス専門のコンサルタントをやっている方で、専門的な話を期待してキーノートをお願いしました。提出された動画が私個人の期待を上回るマニアックで高度な内容だったため、字幕作成の過程で内容的に難しくて固まってしまう場面もあったのですが、日本のRailsコミュニティにあの動画を共有できてとても良かったです。

女性登壇者について

去年の振り返りの中で、

女性の登壇者と参加者が少なかったので、それを増やすことは重要な目標になるでしょう

と言及されている女性の登壇者ですが、今年は3名の方に登壇していただきました。プロポーザルの数自体も増えていたので、全体的に目標は達成できたと思います。理由はハッキリとはしませんが、地道な広報活動をしたのが良かったのかもしれません。来年以降も登壇者の男女比のバランスが取れるように活動していきたいです。

当日のトーク

プレイリストを置いておきますね。

当日

今年の当日運営はかなりゆとりがありました。オンラインでの運営も3年目となり、特に初期からいるメンバーは慣れてきているというのもあります。また、後述するように新しい運営メンバーも増えているため、単純に当日の配置という意味でもやや余裕はあったように思います。私個人としては半分視聴者というと言い過ぎですが、かなりじっくりと発表を見れました。

去年の振り返りを見るとだいぶ忙しそうにしているので、さきほどの「がんばりすぎない」という点は当日もある程度実現したのかもしれません。とはいえ、ブースに行ったり司会をしたりとやることは結構多いのですが。

懇親会

懇親会は、今年は参加者がなぜか去年より減るという現象に見舞われました。これは解釈が難しいのですが、一つの仮説として「コロナ禍が収まりつつあり、土曜日は別の用事で出かけるため参加できない人が増えた」というものがあります。これは後述するデータでも裏付けられていて、2日目(土曜日)の参加者は本編の時点で少な目でした。

データで見るKaigi on Rails 2022

データです。

Day1

トータルの総視聴数は3,215、ユニークな視聴者数は1,437人でした。去年と比較すると15%程度の増加であり、去年よりさらに広範囲にリーチしたことがわかります。

同時視聴者数はデータが取れませんでしたが、当日の記憶では400人近くだったと思います。こちらは去年とさほど変わらなかったかもしれません。

参加者のうちの女性の割合は12.2%であり、こちらは去年に比べて3%ほど上昇しています。

Day2

トータルの総視聴数は1,632、ユニークな視聴者数は719人でした。2日目も去年と比較すると15%程度の増加ですが、やはり1日目と比べると大幅に少ない結果となっています。

同時視聴者数はこちらもデータが取れていませんが、200人前後の時間帯が多かったように記憶しています。

参加者のうちの女性の割合は14.4%であり、こちらも去年に比べて3%ほど上昇し、登壇者の男女比(3:19)と同程度となっています。

感想

やはり2日目、土曜日の数字は1日目と比較してかなり低調です。この事実は1日目のみを視聴している人が一定数いることを示しています。来年のオフライン開催についてこのことは大きな意味を持っています。というのは、来年はチケットの販売数を会場のキャパシティに合わせて制限しなければならず、両日参加のチケットのみを販売すると2日目の会場がガラガラになってしまうこともあり得るからです。もちろん、オンラインとオフラインで参加者の行動が大きく変わる可能性はあるわけですが。

運営体制

今年は新しい運営メンバーを3名迎えての出発となりました。今年の運営チームは例年にも増して自発的に行動してくれるメンバーが多く、多いに助けられつつ運営を行うことができました。特に当日の託児サポートやMiroの準備などは私はほとんど何もしておらず、主体的に発言し動いてくれたメンバーがいてこそ成り立ったものでした。

運営メンバーといえば、今年はunasukem_yamashiifu-gaの3名が運営の感想を書いてくれていますね。そちらも併せて読んでいただくとよく多角的に伝わってくるのではないかと思います。

来年の話

これを書いている時点で2023年まであと2時間を切っているのですが、来年は運営メンバーも大幅に増え、オフラインでの開催を行うことが決まっています。これまで得てきた経験値が部分的にリセットされてしまう面はあるのですが、それ以上にオフラインでのカンファレンスはとても楽しいのでわくわくしながらやっていきたいなと思っています。来年もよろしくお願いします。

それでは、良いお年を!

おまけ

バーチャル背景を置いておきますね。

Kaigi on Rails 2022 バーチャル背景